編集部ブログ
ドットPC編集部

2009年12月 4日(金曜日)

【ドット読後感】『笑う科学 イグ・ノーベル賞』

dokugokan.png ひさしぶりに、本を読んでいて思わずプッと吹き出した。電車の中だったことも何度かあり、周囲に迷惑をかけたと思う。でも、おかしいのだからしかたない。「落下するバタートーストの力学的分析」「古代の彫刻と実際の人間では陰嚢の大小が左右逆になっていることの実証」「兼六園の銅像がハトに嫌われる理由の化学的考察」。これらは「イグ・ノーベル賞」のそれぞれ物理学、医学、化学賞を受賞した研究の題目だ。

 どれも今すぐ内容を知りたいような、同時にぜんぜん知りたくないような気のするビミョーな研究ばかり。本書では、「笑わせ、そして考えさせる」研究を対象とした同賞の来歴や、ユニークな授賞式の様子が紹介されたあと、6人の日本人受賞者が登場する。
 
 そのひとり、「兼六園の銅像が~」の広瀬幸雄・金沢大学名誉教授は、若いころ、兼六園の「日本武尊(やまとたけるのみこと)」の銅像にだけ鳥が寄りつかないのを見て不思議に思い、40年間研究を続けた結果、銅像に使われている合金から微弱な電磁波が発生、鳥はそれを嫌っていたことを突き止めた。はじめは笑いながら読んでいたが、やがて、教授への尊敬の気持ちと、これが本来の科学ではないのかという考えがわいてきた。
 
 高度に専門化した科学は、敷居が高くて、筆者のように理系科目が苦手な人間には近づきがたい。でも、こんな身近なテーマなら、けして科学に興味がないわけではないのだ。
 カラオケやバウリンガルの受賞で「珍発明のための賞」という印象が強いイグ・ノーベル賞への認識が変わる楽しい本。(大浦栄治)

『笑う科学 イグ・ノーベル賞』
著者...志村幸雄
発行...PHP研究所
価格...840円


文●アスキー・ドットPC1月号掲載

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